スタッカート
暗くて長い廊下。
隣で感じるトキの気配。
私は何となく気まずくて、たくさんの車のライトと赤信号の点滅が見える窓の外を眺め、意識を別のところにやるのに必死だった。


罪悪感。



トキに助けられるのはこれで二度目だ。―情けない…。


「……うるさい」

トキがぼそっと呟き、私はびっくりして隣に居る彼を見上げる。明らかに不機嫌な顔だ。

「さっきからぶつぶつ何言ってんのか知らねーけど」


そう言って私の眼をがっつり捉えて睨みつけた。


「文句があるなら一人で帰れ」


「ご、ごめんなさい…」

自分でも気付かない内に思っている事を口に出していたらしい。
本当に何やってるんだろうか、わたし。


物音ひとつしない静けさの中で、トキの声がやけに大きく聞こえる。



「お前、もうここには来るな。」



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