スタッカート

たくさんの人と人の間から見える、ステージの真ん中に立てられた一本のマイク。

光に反射してきらきら光るドラムセット。

「キレイ…」


はじめてじっくりと見たたくさんの機材に、私の口からは思わずそんな言葉が出た。

―これがバンド…

ヒナは怪訝な顔で「え?」と聞き返す。私は何となく恥ずかしくなって、何でもないよ、と首を振った。

そのまま私がときらきらと光る機材に見とれていると、
明るかった証明がだんだんと落ちていくのがわかった。

暗闇に包まれるのが怖くて、一瞬ピクッと体を強張らせたけれど 、次の瞬間、ライトがいつの間にかステージの真ん中に立っていた男の人を照らし、
私の意識はそこに向けられた。



.
< 7 / 404 >

この作品をシェア

pagetop