スタッカート
私は泣いた。
大好きなピアノ教室、優しいピアノの先生。私と一緒の時期にピアノ教室に入ってきたヒナ。
けれど母の気持ちは動くことは無かった。
コンクールの二ヵ月後、隣町にある、有名な先生のいる大きなピアノ教室に通うことになった。
慣れない環境。
分からないことばかりで。
私は友達も出来ずに毎日泣いていた。
すると、それから一週間後にヒナもその教室に移ってきた。
私と一緒のピアノ教室に行きたいんだと泣いてせがむので、仕方なく入会させたのだと、それから何年も後になってヒナのお母さんからきいた。