スタッカート


「…あの時、本当に東子は壊れてしまうんじゃないかって、怖かった」

ヒナが小さく呟いた。
窓の外はいつのまにか薄暗くなっていた。

「六年たってもやっぱり、体の震えとか無くならないみたいだし…」

でも、とヒナは続ける。

「軽音の部室で、トキくんの声を聞いたとき、彼の姿を初めて見た時、なんとなく東子と似てる、って思ったの」

怪訝な顔でヒナを見つめると、ヒナはそんな私の視線に気付いて、こちらを見てから少し笑って続けた。



「この人だったら、東子を、あのトラウマから救えるかもしれない、って」



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