スタッカート

目を見開き、ぶんぶんと首を縦に振り頷くと、険しい顔をしていた男の子は、声を上げて笑った。

「なんだよ!あの“東子”かよ!!」

その声に、周りにいた人たちも何かを話し始め、急に騒がしくなる。

私が顔に「?」をたくさん浮かべて周りをキョロキョロと見ていると、男の子がそれならそうと早く言えよな、とバシンと肩を叩いてきて、笑顔で言った。


「トキなら、もうそろそろしたら来る。安心しな」


その言葉にほっとし、緊張の糸が切れて笑みが零れる。

すると、それを見た男の子は一瞬固まって

「これは、トキが気に入るのも分かるな」

なんてよく分からない事を言って、また豪快に笑った。
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