クローバー
そして、やっとヨツバがセイに顔を向けた。
「さようなら、セイ」
「……」
やっと見せたヨツバの顔は、似合わない泣き顔だった。
そして立ち尽くすセイを置いて、二人は行ってしまった。
荒れたその場に残されたセイに、背後から部下が声をかけて来た。
「あの女の記憶が戻ったようですね」
「…お前も派手にやられたな」
サヤの服は所々破れて焦げていた。左腕を怪我したのか、右手で押さえている。
おそらく、ヨツバが女神の力を使ったんだろう。それを食らって生きてるなんて、よっぽどサヤは丈夫だ。いや、ただ死ねないだけか。
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