クローバー
まだ子供だったヒナタには村の掟など分からず、分からないまま村人の前で魔力を使ってしまった。
それがヒナタの生活を狂わせた。
「ここから出れるかな…」
ぼんやり浮かぶ月に手を伸ばすが、月はこの手を救ってくれない。
その時、月に被るように人影がヒナタの前で倒れ込んだ。
「……子供?」
その人は金髪に埃や土をいっぱい付け、ヒナタを見付けて首を傾げた。その後に続くように男の声が響く。
「どこに行きやがった!あの魔女!」
「おい!そっちは悪魔の子供がいる小屋だ!近付いたら殺されるぞ!」
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