クローバー
「必ずここから出すわ」
嬉しい。マリアさんはやっぱり優しい魔女だ。
こんな人間だったかどうかも分からない両親を人と見てくれて、お墓まで作ってくれる。マリアさんのほうが村人よりもよっぽど人間らしい。
「明日の深夜迎えに来るから」
「約束だよ」
「ええ。約束ね」
そして二人は互いの小指を絡めて、ヒナタにとって希望の約束を交わした。
今なら、何だか月に手が届きそうな気がする。
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