クローバー
ヨツバは襟首を掴まれ猫のように持たれたまま、罰が悪そうに冷や汗を流す。
「あ、いや、何か色んな人がいて怖くて…」
「盗み聞きなんて人が悪いな」
「べ、別にそんなんじゃ…。ちょっと聞こえただけで…」
「へいへい」
ため息を吐きながら手を離してやる。こいつ、ほとんど最初から聞いてたな。
ヨツバは乱れた襟を直しながら、上目遣いでセイを見上げてきた。
「セイって騎士だったんだね」
「二年前までな」
「二年前?」
< 89 / 331 >

この作品をシェア

pagetop