actum fugae

Side * ホタル

　真剣な付き合い、なんて莫迦みたい。

　本気になってやきもち妬いて、心配して、逆に呆れられて別れを告げられる。

　そんな事が何回も続くと真剣な付き合いどころか恋愛だってどうでも良くなる。

　私に赴任の話が転がり込んだのは丁度そんな時だった。

　私の家は東京、と言っても結構な田舎にあって、都心に行くまでには一時間以上はかかる、そんな辺鄙なところだった。

　つい最近まで付き合っていた彼氏（同じ職場）とも『思ってた以上に重いんだよね』って言われて別れたばかりで気まずかったし、何より一人暮らしもしてみたかった。

　そんな理由で私は赴任の話をすぐに受けた。




「……と、言うわけで今日からこのクラスの副担任を任せられました、牧瀬　蛍（ﾏｷｾ　ﾎﾀﾙ）です」


　初めて来た学校で私は三年生の副担任、と言う微妙なポジションを与えられ。

　そして今に至る。