actum fugae
Side * カケル
 相変わらずの暑さ。

 相変わらずの熱さ。



「おらぁ葛城ィっ、一歩ダッシュ遅れてっぞー!しっかりしろや!」

「すんませんっ!」



 風の中を駆ける。

 大地を蹴る。



 その瞬間だけが、俺が生きているって実感できる瞬間だ。



「それじゃラストー、1on1行くぞー!」

「「おーーーっす!」」



 変わらない朝の練習風景の中に。

 ある日変化はやってきた。

 それは、俺じゃないと気づかない変化。

 俺が壊した日常を、彼女が元に戻してくれる、その変化。


 いや、元に戻すわけじゃない。

 俺を許してくれた、その変化なのかな。


 彼女を初めて見かけてから、四ヶ月が経った頃。

 それは突如訪れたのだった。
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