いつかまた桜の下で君に会えたら
「好きな人出来たの?」
杏ちゃんが一歩詰めてくる。
潤ちゃんの顔も近い。
なんか怖い。
「うん。出来たよ」
やっぱりね。
そう言って二人は体を元に戻す。
「で、相手はあの桜の人でしょ」
なんだ分かってるんじゃん。
私があの話をしてから二人はあの人のことを「桜の人」と言う。
まぁ、名前が解らないんだからなんでもいいんだけど。
「で、どこが好きになったの?」
どこ?
「よくわかんない」
二人はすっごく呆れた顔をしたけど、本当にわからないんだ。
「どことか、そういうのはよくわからないけど、ただ緒にいたら、あぁ好きだなぁ。っては思う」
両手を広げて、空に向かって背伸びした。
伝わったかはわからない。
でも、この気持ちは私だけが知ってればそれでいいような気がした。