いつかまた桜の下で君に会えたら



「あの、何処かで会ったことありましたっけ?」

私の前で立ち止まったその人に問い掛ける。


そういうとその人はちょっと寂しそうに笑った。


「うん、昔ね」


懐かしそうに私を見るから、本当に会ったことがあるのだろう。


「ごめんなさい。全然覚えなくて。私記憶力悪いから」


なんだか言い訳っぽく聞こえたかな。


まぁ、覚えてないんだから仕方ないんだけど。



「仕方ないよ。結構前の事だし」


「でも、俺は君の事知ってるってことだけは覚えおいて」



また優しく笑う。


なんだか懐かしい。



でも、思い出せない。


何だか苛々した。







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