心に潜んだ七色の鬼―刀を持った青い鬼―



教室に入ると、ラッキーなことに先生がいなかった。

クラスメイトからは遅刻だ遅刻だって言われたけど、とりあえずひとまず廊下には立たずにすむ。

俺は大きく息を吐いて、机の椅子に座り込んだ。

すると、それと同時に教室のドアが開いた。

(うわっ!)

俺は思わず声を上げそうになったけど、なんとか抑えた。


すると、担任の朝倉先生とさっきの女の子が教室に入ってきた。


「あ……。」

俺は思わず呟いた。でも、クラスのざわめき声にかき消された。

女の子は教卓の隣で足を止め、不安そうな顔で体をこちらを向けた。

先生は黒板にすらすらと縦書きで字を書きだした。先生の持ったチョークからは国語の先生らしい綺麗な文字が書かれていった。

黒板には、鬼寺 麻耶子  という字が書き出された。そして、先生は俺達のほうを向いて元気な声で言った。

「今日からこのクラスに転入した、鬼寺さんです。みんな! 早く鬼寺と友達になろうね! さっ!」

先生が言うと、女の子は少し驚いた表情で先生を見てから、恥ずかしそうな顔でこっちを向いて深くお辞儀をし

「は、初めまして…。お、鬼寺麻耶子(おにでら まやこ)です…。よろしくお願いします…」

と、小さく呟いた。




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