シングル・シグナル・ナイト。
淵からツクネに足を掴まれ、一志は奈落への壁に強かにぶつかった。
悲鳴が糸になり連綿と続いていた。
どうやらトロッコは落ちたようだった。
一志を引き上げたツクネは、
骸骨の森に
――あろうことか――
へたり込んだ。
ご存知の通り、骸骨の森は寛容だが、へたり込むことには裁量が狭い。
森が騒ぎ出すまでに、さしも時間はいらなかった。
ツクネが悲鳴を上げずにきょとんとしていたので、これは危険だと思い、
一志はツクネの首を掴み、走ることした。
水色の森はすでに藍色に変わろうとしている。
ツクネは叫ばず呻く。
これは危険だ。
一志は、一足飛びに森を抜け出した。