シングル・シグナル・ナイト。
Say god bye.
抜け出す頃には、森はとうとう焦げ紺色になっていた。
危うく飲み込まれる所だったというわけだ。
今回、飲み込まれると34回目の人生をやり直さないといけない所だった。
また、墓から這い出して87歳からなんて酷く御免だった。
「……………」
ツクネはひどく怯えていた。
肌の色が黒から白になってしまっていた。
そっとツクネの頭を撫でると、縋るように見つめてきた。
かつて、綺麗な一流の闇だった彼女は今や、闇の風上にも置けないような白い闇になってしまっている。
闇養成学校に通いつめ、黒くなることに研鑽を積んだ日々が忍ばれて、一志は薄ら笑いを浮かべた。
自分と出会ったことがツクネの人生を大きく変えてしまった。
一人の人間として、きちんと責任を取るべきではないだろうか。
「……………」
一志は黙って手を差し出した。
ツクネは少し躊躇い、こちらを何度か伺うように見た後、手を重ねた。
言葉はいらない。
全ては繋がっている。
抗わず受け入れろ。
それこそが―――――