シングル・シグナル・ナイト。
ツクネがまばやく程の闇を発し、一志は思わず目を閉じた。
心に響く。
心が響く。
『メメント・モリ』
死を想え、
死を愛せ、
死と隣り合え、
死を受け入れろ、
死と共にあれ、と。
『メメント・モリ』
死は偉大だ。
死は敬謙だ。
死は必然だ。
死は伴侶だ。
白い闇が囁く。
「お帰りなさい」
重ねた手から温もりと冷たさが這い上がる気持ち悪さを、一志は息を止めて堪えた。
ツクネは一志に頬を寄せ――蝶が触れるような一瞬――接吻をした。
そして、泡のように弾けて消える。