短編置き場・3
男がぼんやりそうしていると、草むらをかきわけてコムギコが帰ってきた。

口に色あせた手提げバッグをくわえている。

「やったじゃないかコムギコ。お前はやればできる子だ。どれ、お宝鑑定してみよう」

コムギコからバッグを取ると、面白そうにそれをながめた。

中学生が登校に使うような、布製の紺色のバッグで、ずいぶん色あせている。

男は(どうせ、いらなくなった古着でも入っているのだろう)と思いながら、バッグのファスナーを開けた。

中には、新聞紙の塊が入っていた。

取り出して新聞紙を開く。

それは、中に何かを隠しているようで、何重にもくるまれていた。

ちらりと見ると、新聞紙の日付は十年以上も前のものだった。

開いた新聞紙をわきに投げ捨てていくと、最後に男の手に残ったものは、一丁の拳銃だった。
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