短編置き場・3
そして、拳銃と一緒に、一枚のノートの切れ端に書かれたメモが添えられていた。

『世界を救え』

「・・・コムギコ、お前は時々俺の予想以上の成果を上げるね」

男の困惑をよそに、コムギコはうれしそうに尻尾を振っていた。

結局、男は拳銃をどうしていいか判断できず、軽バンの引き出しにしまいこんで、床に就いた。

その夜、男は激しい地鳴りと遠くから聞こえる爆発音に目を覚ました。隣にはコムギコが眠っている。

「なにごとだ!?」

とっさに軽バンを飛び出した男は、向うの、街のほうで火の手が上がっているのに気づいた。

燃え盛る炎にてらされ、巨大な、とてつもなく巨大な蜘蛛のシルエットが、街を破壊しているのが見える。

男はバタバタと自分の体をまさぐった後、引き出しにしまったことを思い出して、車に戻り拳銃を取り出した。
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