【さみ短2】M色マジック
しかし店内には誰もいない。

あれ?確かに声が聞こえたハズなんだけど……。

「ども~初めまして!姫野まりあさんっ」

えっ?どうして私の名前……?

確かに誰もいなかったそこに、見慣れない少女が一人立っていた。
おまけに恰好もちょっと変わってる。
まるで……二次元の世界から出てきた、

フリフリのレースの付いた短いスカート。
胸には真っ赤な大きなリボンの付いたシャツ。

こっこれは……昔テレビで見た、

『魔法少女』?

って……まさかね。

「あなたは……?」

「魔法使い(見習い)のシャロンちゃんでーす!」

何?この子??うわ~っ……頭痛くなってきた。
関わらない方が身のためかも。
うん、そうしよう。

「えっと……ショートケーキ二つとチーズケーキ二つだっけ?」

「無視しないでよぅ~私の話を聞いてほしいの」

「話?」
これはまともに聞いていいのだろうか。

「そう!だからアルバイト終わったら雀宮公園の『桜の木の下』に来て!待ってるからっ!!約束ね~っ!!!」

「ちょっちょっと~っ!!そんな勝手に!私にだって予定ってもんが」


「……野さん、姫野さんっ!」

「あっ、ごめんなさい」

「誰と話してるの?」

いつの間にか厨房に居た店長がフロアに出てきていた。

そっか……店長には見えないんだ……。
あの子の言うこともまんざら嘘じゃないかも。

「さっきちょうど知り合いが来てくれて」

「そう……それならいいけど。独り言言っているのかと思ちゃったわ」

「やっやだなぁぁ~アハハハ」

雀宮公園の『桜の木の下』……了解。
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