キヲク
「わから…ないです。私の名前も、誕生日とかも。…生きてるってことしかわからない。」



私はそう言って胸に手を当てた。

〈どきん、どきん〉

と心臓が動いている。

私は名前さえ忘れてしまっていても、こうやって生きていることを確認する術を知っていた。

…なんか不思議。
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