You or someone like you.
1週間後くらいだっただろうか?
カールと一緒にチェルシーのギャラリー・オープニング巡りをした。アーティストきどりで半分くらいはタダ酒が目的だった。酔っ払いながら、カッコつけてアートの話を知ったかぶりでする。だから、街は木曜の夜に貧乏な若者で溢れ返るんだ。
絶世の美男子は少し遅れて登場した。残念な事に、どんなに考えても彼の名前が思い出せないので、Dという事にしておこう。Dは遠目でもすぐに見分けがついた。美人は目立つものだ。長身に細身のジーンズ、ダボダボのモード系アーミーコート、そして、トレードマークの焦げ茶のくせ毛。そんなに目立って恥ずかしくないんだろうか?それとも、もう慣れっこ?

オープニングの後は何をしたんだろう?行く店が決まらないままウロウロして、結局、解散したのかもしれない。別に目的があるわけではなく、呑みたい仲間たちだしね。

1週間後くらいにベッドスタイ地区の友人マリア宅で飲んだくれているところに、カールからお誘いの電話がかかってきた。

内容は、いつもと同じ。

とりあえず、飲みに行く。

そうすれば、きっと何か面白い事が見つかるから。

そして8人に増えた呑んだくれチームは近辺のバーで適当な話を肴に飲み始めた。その中にDもいたけれど、男好きのマリアに即座に狙われてテーブルの角席で親密そうに話をしていた。数時間後に意を決して近くのパーティーに行ってみる事にした。

外は雨だった。深夜4時に雨だと呑んだくれは諦めモードになるらしい。まあ、体育会系でない事は確かだ。ただのエセ・アーティスト兼アル中軍団に体力や気力があるわけがない。

私は、酔っ払った時の癖で「日の出が見たい!」と言った。そんなワガママが通るはずもなく、2人、3人と人は減っていき、最終的には遊び足りない私とDだけが残ってしまった。
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