逢えたから

何を言われるのか。
何をされるのか。

母さんが罵るなら、まあ気にならない。
だって慣れてるから。

母さんにとって僕を罵ったり、人の気にしているところをチクチク突いて、いたぶったりするのは、あの人にとってただのストレス解消法でしかない…


でもおじいちゃんは違う。


自分のストレスを他人に向けるなんて、はた迷惑なことはしない。
それどころか、受け止めてくれるような大きな存在だと思う。


だからこそ、僕が尊敬する唯一の人だからこそ。


嫌われたくないし、呆れられるとか面倒に思われるなんて、絶対嫌だ。


「……はーっ」


ビクッ

これは…

……呆れられてしまったのだろうか……?


「あ…おじいちゃん…その…」

「帰るぞ。」

「えっ…あ、う、ん…」



顔をあげたときにはもう、おじいちゃんの身体は僕に向いてなくて、叱ってももらえないのかと思うと、どうしようもなく泣きたくなった。



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