はなと不良クン
「…んだと、花井ぃ…?」
ゆらりと後ろから溢れんばかりの殺気を感じた。
…里唯ちゃんだ…
「…なんだ、てめーは。邪魔だ。どけ、二人とも」
そう言って花井くんはわたしと里唯ちゃんを押し倒すような勢いで教室の中に入り、自分の席に座ると突っ伏してそのまま寝てしまった。
「葉菜!!大丈夫!?」
「大丈夫だよ。里唯ちゃん」
花井くんに押されて倒れそうになったけど、近くの机に手をおいてなんとかその場に止まった。
「…花井のやつ、よくも可愛らしい葉菜を…」
わたしが無事だと分かると里唯ちゃんは寝ている花井くんの方を見て思いっきり睨んでいた。
「里唯ちゃん!!わたしが悪いんだから、花井くんを睨まないで!!」
今にも花井くんに襲いかかりそうな里唯ちゃんを必死に止めながら言った。
「はぁっ!?葉菜は何も悪いことしてないでしょ!!ただ傷は痛くないか聞いただけじゃない!!」
「…けど…花井くんにとっては…嫌なことを言ったのかも…」
花井くんに言ったことを思い出ししょげてるわたしを見て、里唯ちゃんはあからさまにため息をついた。