夕暮れ行進曲
「やるって何だよ。俺はそんなことしたら髪の毛ぐちゃぐちゃになっちゃうんだよ。」

「私さ~好きなんだよね、こういう天気。今から雨が降りますよ~みたいな?」

 空はさっきよりも暗い雲で包まれていた。

「何で?」

「なんとな~く・・・よくない?匂いとか。夕焼けとかよりもさ、曇り空がいいんだ。」

 この立花の言葉は俺を驚かせた。曇りの日の匂いが俺も好きだった。

 妙に風が強くて、あと数分もすれば雨が降りそうな日はいつも懐かしい匂いがする。
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