夕暮れ行進曲
 小学生の時に買った時代遅れの写真集のルビを目で追うのは、なんだか寂れた町のガソリンスタンドに立っているような取り残された気分がする。

 窓を開けると夕焼けはいつもと変わらずに、雨上がりの輝きで町のシルエットを照らす。

 俺は自分の部屋から一階への階段を降りて、リビングのパソコンの電源を入れた。

「光輝、最近学校はどうなの?」

 母さんがいきなり俺に聞いてきた。

「何で?」

 俺はとりあえずそんな返事を返した。

「だってこの間、何だか普通じゃなかったからねぇ。」
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