夕暮れ行進曲
「なんで?」

「いや、無理だから。」

 俺はこんな奴に付き合っていても仕様がないと、職員室のドアを開けた。中に入って閉めようとすると、立花も隙間から入ってきた。

 ポマードは職員室隅の席で、こちらに背中を向けて何か書類を読んでいた。

 明らかにポマードのところだけ空気が違う。ポマード周囲の先生達は、互いに話をしたり、生徒からの質問に答えたりしていた。
極めて和やかである。

 しかしポマードの机のところだけ、影が落ちたように閑散としていた。

 立花が小声でつぶやく。

「じゃあ頑張ってね。生きてたらまた会おう。」
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