夕暮れ行進曲
 なんだかテンションが高くなって俺はそんなことを言ったんだと思う。今思えば紙一重のセリフだった。

「そういう安いナンパはお断りですから。」

 立花は冷静に俺のセリフを流してしまった。実を言うともう少し絡んで欲しかった。

 カフェラテのグラスが空になっていたので俺はカプチーノを飲み干した。

「帰りますか~?」

「帰ろっか?」

 俺達は席から立ち上がって会計に向かった。隣の男はまだ座ったままだった。
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