夕暮れ行進曲
 坂井は傷つくだろうし、一度付き合ってそれからまた考えようかとも思った。

 でも俺は言った。

「・・・・・・・・・」

 坂井は下を向いたまま動かない。足で小石を軽く遊ばせたりした。

「ごめん。」

 俺は坂井をよく見ることが出来なかった。

「・・・いえ、いいんです。じゃあ私部活行きますね。」

 坂井は力の無い笑顔を作って俺に背中をむけた。が、気付いたように振り返った。

「これ、ありがとうございました。」
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