夕暮れ行進曲
 カイロの効力はすっかり切れていたが、自分の手のひらが異常に熱を帯びているようで、いつもこんな感じならきっとカイロなんて発明されてないだろうなと思った。

 使い切ったカイロはただのゴミで、捨てる以外に選択肢はない。

 俺は机から下がっている鞄を取って教室から出た。
その時には教室は空っぽで、誰一人席についているものはいなかった。

 いつも以上に自分の足音が響いているように感じる。

 一段・・・一段・・・俺は階段をゆっくり一歩一歩踏みしめた。
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