夕暮れ行進曲
 教室には俺の他に誰もいない。黒板にドラえもんだが、どこかドラえもんでないものが描かれている。

 筆跡からして女子だろう。女子特有の、パーツの小ささと中心に集まる傾向が見てとれる。
ドラえもん?は寄り目だったが不思議と俺を見つめているようで、外から入る黄色い光がドラえもん?を何処か格調高く彩った。

「高橋、どうだった?」

 誰もいないはずの教室から声がしてびっくりした。立花だった。
 立花は俺の隣の席に座ると足を組んだ。
う…ちょっとドキッとした。

「どうでもないし。お前なんでまだいんの?」
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