夕暮れ行進曲
 立花と話しているとなんとなく安心する。
もし立花に彼氏がいなかったら、俺はきっと好きになっているだろう。

「じゃあ、俺帰るわ。」

 このまま話していたいとも思ったが、なんだか俺の居場所がなくなりそうな気がした。

「もう帰っちゃうの?」

「じゃ、また明日」

「じゃ~ね~」

 俺はバッグを片手に背負って教室を出る。
立花は俺に軽く手を振った後、窓の外を眺めていた。

 床にはワックスがかかっていて上履きが何度か引っ掛かりそうになった。

 階段を降りる音はこの時間だとやけに大きく響く。

 
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