夕暮れ行進曲
坂井
 顔は地味で印象が薄く、更にメガネをかけているので地味さが際立ち、まるで昭和の時代から抜け落ちたような子だ。
 しかし肌が白くていつも清潔感がある。

「先輩、私ちょっとは卓球上手くなったんですよ?」

「マジで?俺はもう駄目だよ。」

「先輩バックハンドが下手ですからね~」

 坂井はフリスビーを投げるような手つきで右手を振った。

「こうですよ、こう。」

「自分、不器用ですから。」

「今度勝負しましょうよ。」

「え~。」

「近くに市民体育館ありますよね?そことかどうですか?」
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