夕暮れ行進曲
 「高橋、お前放課後職員室に来い。」

 ポマードはそんな捨て台詞を吐いて教室から出ていった。俺は相当…へこんだ。

 注意されただけでも既にへこんでいたんだから、この後たっぷりお説教かと思うと泣けてくる。

「高橋、大丈夫かよ?」

 三井が話しかけてきた。

「はぁ…もう最悪。泣きたい。」

 俺は本気だった。

「なんでポマードの授業で寝るんだよ。」
「寝るつもりじゃなかったし…」

 教室の隅のほうでたむろしている椿和也が大きい声で言った。

「高橋、お前の寝顔マジできもかったわ。」
「あんまし調子こいてんじゃねぇぞ。」

 椿に続いて、椿のパシりが言った。俺はそいつらに苦笑いを返す。三井は気まずそうに俺のほうを見ていた。
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