夕暮れ行進曲
 俺は一人で廊下にでる。部活に行く生徒と、誰かを待っているらしい生徒以外はもう教室にいない。

 俺は夕焼け色に染まる廊下を歩く。隣をジャージを着た女生徒が走り抜けた。

 ふわっと長い髪が揺れて、うっすら汗の匂いがした。

 俺はそのまま職員室へ向かう。窓の外の焼却炉では何かが燃やされて、煙が立っていた。

 煙は空に溶けて透明になった。俺はその様子を何気なく眺める。
そこは職員室前廊下の窓の外だった。
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