夕暮れ行進曲
 砂利道を向こうから歩いてくる気配があった。まさか坂井かと思い、俺は一瞬隠れようとしたがすぐに思いとどまった。

 坂井なら坂井で早く終わらせてしまおうと思ったのだ。

 しかしやって来たのは立花だった。立花は男と一緒だった。
徐々にこちらの方向へやってきたので目を凝らすと、同じクラスの田村だった。

 立花の隣の席の冴えない挙動不審野郎、俺はとっさに身体を鉄柱の裏に忍ばせた。

 立花は終始笑顔で田村と何か話しており、田村も身体を小刻みに震わせながら立花の目をみないで話していた。
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