夕暮れ行進曲
「いや別に親しいわけじゃないけどさ~、たまに理科室貸してもらってるんだ~。」

「理科室?何で?」

「聞きたいの・・・?」

 立花が妙な上目遣いで見つめてきたので階段を一段踏み外した。

「あはは、何やってんの?」

 駐車場には目が醒めるような青いオープンカーとその傍らに佇む、白衣を脱いで茶色い革ジャンを着た松重先生の姿があった。

「ここに乗せちゃって。」

 松重先生は迷わず助手席を指差した。
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