夕暮れ行進曲
「え、先生これじゃ一本しか買えませんよ?」

「んなもん、二人で飲みゃ~いいだろ。」

「は~?」

 どこまでケチな人なんだろう。俺は立花に小声で話しかけた。

「おい、あいつ何なの?立花なんとかしてよ。」

「いいよいいよ、高橋にあげるからさ。」

 そういう問題じゃない。でもたかが120円のために先生に言い寄るのもあまりかっこいいもんじゃない。

 立花は何故かこの松重先生を慕っているようで、ちっとも不機嫌そうな顔を見せないことだし。
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