夕暮れ行進曲
 なんだか俺だけがこの空間に似つかわしくない普通の人のような気がしてくる。

 松重先生は爆音を響かせながらエンジンを吹かし、その音にかき消されて聞こえなかったが今日のお礼と捨て台詞を言って行ったようだ。

「なんか俺テンション下がっちゃったよ・・・。」

「ごめんごめん、今日だけだから、ね?はい、120円。」

 立花は笑いながら俺に120円を手渡した。

「ほんとにいいの?俺だけ。」

「いいっていいって。」

「ありがとう。この恩は明日忘れるよ。」
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