妻へのラブレター
泣き虫だけど、感受性は我が家で飛び抜けていた。

人のために惜しげもなく泣ける…そんな愛すべき娘だ。

のんびりした雰囲気とは裏腹に、細かい事によく気が付く。

ヘッドフォンは新品だった。

「高かっただろ?母さんにお金貰ってくれよ。」

そう言う僕に貴子は窓の外を見ながら

「安物だから。退院したら、父さんのお財布から返して。」

と小さく答えた。

また、泣いてるのか?

貴子よ、お前は泣き過ぎだ。
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