妻へのラブレター
僕が記憶をたどっていると、ドアが開きあの人が立っていた。

「…龍治…。」

なぜ…そんな弱々しい声で呼ぶんだい?

僕は文句の一つも言いたいと思っていたのに。

おふくろは従兄弟の孝男に付き添われていた。

孝男が椅子を用意し、おふくろを座らす。

「元気そうじゃねぇか。」

孝男が下品に言った。

昔から孝男はそういう奴だ。

気遣いも何もない。

元気なわけないだろう…。

どこ見てやがる。
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