妻へのラブレター
「バルセロナだ。あそこに見えてる。あと少しなんだ…。あとは…行くだけなんだ…。」

「…少し休んだら?…お茶飲む?」

「……少し疲れたから…。また後でやるか。…休もう…か…。」

水差しで登喜子が冷たいお茶を口に入れてくれる。

あぁ…労働の後のお茶は美味しい…。

フッとバルセロナが視界から消えた。

代わりに仕事が休みの静香が僕を覗いている。

「…静香?…何だ?」

「お見舞いに来た娘に、いくらなんでも失礼でしょ。」
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