旅立ちの日〔実話〕
父の回想(「空へ」より)
異様な状況に次第に慣らされてくる自分に戸惑いを感じながら「醒めたというか妙に冷静みたいな気がしていた」という。
「しかし、やはり頭の中がパニくっていたんだと思います。
親父はすぐにわかったんですがお袋が見つからない。
とにかくお袋の遺体を持って帰らねばとそのことばかりでした。
親父だけを持って帰って早く葬式を出したらお袋の葬式はまた別に出すのか、とそんなことを考えながら探していたんです」と話す。
「親父の遺体は上半身が判別できないくらいに焼けていましたが、ズボンにクリーニングの名前と住所があり、はいていったクツが私と同じものの色違いだったので確認できた。
旅行に行く前日に
『おう、これを見てくれよ』というので
『なんだよ』といって見ると
『これはお前と同じクツだろ』という。
『ああ、一緒だ一緒だ』と言っていたクツが毛布の下から出ていたのでわかった。
異様な状況に次第に慣らされてくる自分に戸惑いを感じながら「醒めたというか妙に冷静みたいな気がしていた」という。
「しかし、やはり頭の中がパニくっていたんだと思います。
親父はすぐにわかったんですがお袋が見つからない。
とにかくお袋の遺体を持って帰らねばとそのことばかりでした。
親父だけを持って帰って早く葬式を出したらお袋の葬式はまた別に出すのか、とそんなことを考えながら探していたんです」と話す。
「親父の遺体は上半身が判別できないくらいに焼けていましたが、ズボンにクリーニングの名前と住所があり、はいていったクツが私と同じものの色違いだったので確認できた。
旅行に行く前日に
『おう、これを見てくれよ』というので
『なんだよ』といって見ると
『これはお前と同じクツだろ』という。
『ああ、一緒だ一緒だ』と言っていたクツが毛布の下から出ていたのでわかった。