旅立ちの日〔実話〕
しばらくすると
全てのテレビが同じ映像を写した。


固定カメラの映像

飛行機らしきものが燃えていた。
それからテレビから便名が聞こえた。

母がメモを探す。
出かける前に祖父母が置いていったものだ。


母は急いで便名を確認する。
台北初中華航空機140便




ありえなかった。
今、テレビ画面で燃えている飛行機には祖父母が乗っているのだ。


言葉を失った。
ありえない光景
ありえない現状

悪夢のような光景
悪夢のような現実


悪夢であってほしいと願った。


タイミングよく乗ってなかったり
実は別の飛行機だったり


いろいろ考えたが、今はただ祈るしかなかった。
< 3 / 26 >

この作品をシェア

pagetop