つま先立ちの恋
「灯歌ちゃん、危ないっ!」
名前を呼ばれた拍子に振り返ると、ものすっごい衝撃に襲われた。何が起こったのかわからないまま視界に火花が飛び散って、
「きゃーーっ、灯歌ちゃん!」
「大丈夫かっ、孫!」
いつの間に私、こんなに人気者になったんだってくらい名前を呼ばれて、いくつもの顔にのぞきこまれる。
…― 『のぞきこまれる』?
どうやら私は仰向けでひっくり返ってしまったみたい。
そーいえば、体育の授業中だったんだ。