つま先立ちの恋
そうしたら、今度は和泉が俯いた。押しつぶされた喉が和泉の声を殺してしまう。

「…………よ」

「え?」

反射的に聞き返した私。

和泉は目だけを上げて私を見つめると、



「俺が忘れさせてやるよ」



「和泉…………」



冗談なんかじゃない。
その目がそう語っていた。


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