つま先立ちの恋
私がじぃっとフーを見つめると、フーは眼鏡のブリッジを指で押し上げなら、

「どうでもいい。とにかくそこを…」

「ダメったらダメ。私、絶対にどかないから」

私は首を振った。

「お願い、フー。風邪の時くらい休んでよ。こういう時は休んでもいいんだよ。フーはいつも頑張りすぎるんだから…無理しないで。それに…」

私は忘れかけていたコンビニ袋からペットボトルを出す。

「あと、これお見舞い。私、風邪引いた時はいつもこれなの。1.5リットルも飲めばすぐ治るから」

「お前と一緒にするな!」

フーが怒鳴った。その声が懐かしい。こんな風に私に言ってくれるフーに嬉しくなる。

だから、ペットボトル3本全部をフーに押しつけた。

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