つま先立ちの恋
「フー……っ!」


呼び止めようとした声を遮るように目の前でドアが閉ざされた。私は車の内側から、目の前のスモークガラスに両手で縋りついてフーの背中を目で追いかける。


嘘つき、嘘つきフー。
フーは嘘つきだ。


振り返るつもりもないくせに。
立ち止まるつもりなんてないって言ったくせに。
今だってやっぱり、私を残して行っちゃうくせに…!


それでも、そのたった一言で私をこんな気持ちにさせるんだから、、、


「……フーの方が、馬鹿だよ、、、」


いつものようにフーの背中を見送る。フーの背中は駅の雑踏にあっという間に飲み込まれた。それでも私は、フーを見つめ続ける。

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