つま先立ちの恋
フーの顔が見れない。首が重くてこれ以上顔を上げることができない。なのに口からは何故かすらすらと言葉が出てきて、
「わかった。着替えてすぐに降りて来る。フーはいいよ、お仕事に戻って。送ってくれるのは柏木さんなんでしょ?」
うつむいた先にあるフーの手からルームキーを受け取った。両手でそれをしっかりと持って、
「ごめんね、フー。お仕事のお邪魔しちゃって。だけど、私は…ちょっとでも会えて嬉しかったよ」
エレベーターのある方へと歩き出した。一度もフーを見ないまま。ううん、見れないまま。だって私、ここで笑って言えるほどまだオトナじゃない。
歩き出したら徐々に体が温まって、歩く速度が徐々に速まる。カツカツと刻む足音が速くなる。
魔法がとけていくのがわかった。
「わかった。着替えてすぐに降りて来る。フーはいいよ、お仕事に戻って。送ってくれるのは柏木さんなんでしょ?」
うつむいた先にあるフーの手からルームキーを受け取った。両手でそれをしっかりと持って、
「ごめんね、フー。お仕事のお邪魔しちゃって。だけど、私は…ちょっとでも会えて嬉しかったよ」
エレベーターのある方へと歩き出した。一度もフーを見ないまま。ううん、見れないまま。だって私、ここで笑って言えるほどまだオトナじゃない。
歩き出したら徐々に体が温まって、歩く速度が徐々に速まる。カツカツと刻む足音が速くなる。
魔法がとけていくのがわかった。