つま先立ちの恋
そうだ。
そうだった。
フーはああいう人だ。

あそこで優しく一緒に部屋に行ってくれる人なんかじゃない。どっかの小説や漫画の男の人みたいに、部屋でお泊まりなんてしてくれるような人じゃない。クリスマスだろうとお正月だろうと関係ない。フーはああいう人だ。

それを私もわかってたはずなのに、一瞬でも期待してしまった自分が恥ずかしい。いつもと違う格好で浮かれてた自分が恥ずかしい。フーに何か違うって、大人だなって言ってもらえるんじゃないかって期待した自分がどうかしてた。フーはああいう人だ。わかってたのに。わかってたのに。それでも………


「好きだから、しょうがないじゃん…!」


ああ、もうやだ。なのにやめられない。止まらない。大嫌いだ。


大好きだから、大嫌いだフーなんか!!


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